台湾の街を歩いていて、ふと上を見上げると――
ビルの屋上やアパートのベランダに、びっしりと並ぶ鉢植えや小さな畑。
それが台湾の「屋上菜園(屋頂菜園/wūdǐng càiyuán)」文化です。
都会の真ん中でも、緑を絶やさない。
それは“自然との距離を縮めたい”という台湾人の気持ちの表れです。
🌱屋上で野菜を育てる理由
「自己種的菜比較安心(Zìjǐ zhòng de cài bǐjiào ānxīn)」
――「自分で育てた野菜のほうが安心だよ」
台湾では、食の安全や環境意識の高まりから、
“自分で育てて食べる”というスタイルが広まりました。
特に都市部では、限られたスペースを生かす工夫が進んでいます。
屋上菜園には、リサイクルされたペットボトルを使った水やり装置、
太陽光で稼働する小さなポンプなど、アイデアがいっぱい。
暮らしとエコが自然に結びついた風景です。
🌼植物がつなぐ人の輪
屋上菜園は、単なる“趣味”ではありません。
そこには、人と人をつなぐ力があります。
同じアパートの住人が、
「你的羅勒長得好快喔!(Nǐ de luólè zhǎng de hǎo kuài o!)」
――「バジル、すごく成長してるね!」
と声をかける。
野菜の苗を分け合ったり、水やりを手伝ったり。
そんな小さな交流が、台湾の温かさを感じさせます。
台北市政府も近年、「屋頂緑化」プロジェクトを推進。
公的なビルでも屋上に菜園を設け、コミュニティイベントを行う例が増えています。
🍅学びにもつながる“緑の教室”
学校でも、屋上菜園は教育の一環になっています。
子どもたちが自分で植えた苗を観察し、
成長の過程を日記に記録する授業も。
「原來植物也會渴!(Yuánlái zhíwù yě huì kě!)」
――「植物も喉がかわくんだね!」
そんな子どもの言葉から、
命を育てることの大切さを自然に学んでいます。
💬中国語ワンフレーズ
「你家的屋頂好漂亮喔!」
(Nǐ jiā de wūdǐng hǎo piàoliang o!)
→「あなたの家の屋上、すてきですね!」
🌿まとめ
台湾の屋上菜園は、ただの“緑化活動”ではありません。
それは、限られた空間で自然と共に生きようとする心の表現。
そして、植物を通して人との関係を育てる“もう一つのコミュニティ”です。
街のざわめきの中に、静かに息づく緑の屋上。
その風景こそ、台湾の優しさと生活の知恵を物語っています。


