東アジアの多くの国々で、秋の満月を愛でる習慣がありますが、台湾と日本においても「中秋節(ジョンチウジエ)」、日本では「中秋の名月」として、古くから親しまれてきました。しかし、同じ月見の文化を持ちながらも、その過ごし方や食べ物には、それぞれの国の特色が色濃く現れています。
台湾の「中秋節」:家族団らん、そして「全民烤肉」!
台湾の中秋節は、旧暦の8月15日(通常9月〜10月)に祝われ、国民の祝日として非常に重要視されています。日本の「お盆」のような位置づけで、遠方にいる家族も実家に帰り、一堂に会して過ごすのが一般的です。
- 家族団らんの象徴: 中秋節は、家族や親戚が一堂に会し、食卓を囲む日。月を眺めながら語り合う、まさに「団らん」の時です。
- 月餅(ユエビン): 台湾の中秋節に欠かせないのが「月餅」です。餡の種類も小豆、蓮の実、カスタード、卵黄入りなど非常に多様で、親しい人やお世話になった人に贈る習慣があります。高級ブランドの月餅は、贈答品としても人気です。
- 柚子(ヨウズ): 月餅と共に、この時期に旬を迎えるのが柚子です。家族で分け合って食べ、子供たちは柚子の皮を頭にかぶって遊ぶ可愛らしい光景も見られます。
- 全民烤肉(クァンミンカオロウ): 台湾の中秋節を最も特徴づけるのが、屋外での**バーベキュー(烤肉/カオロウ)**です。近年、テレビCMの影響などから「中秋節=バーベキュー」という文化が急速に広まり、「全民烤肉(全国民バーベキュー)」と呼ばれるほど一般的になりました。家族や友人が集まり、庭先やベランダ、公園などで炭火を囲んで肉や海鮮を焼くのが恒例行事です。街中にはバーベキューの香ばしい匂いが漂い、この時期だけの特別な賑わいを見せます。
日本の「中秋の名月」:静かに月を愛でる風情
一方、日本の「中秋の名月」は、台湾のように国民の祝日ではありませんが、季節の節目として大切にされています。
- 静かな月見: 日本の月見は、台湾のような大規模な家族の集まりやバーベキューというよりは、静かに月を眺め、風情を楽しむという側面が強いです。自宅の縁側や窓辺に月見団子やススキ、秋の七草を飾り、収穫に感謝する意味合いが込められています。
- 月見団子: 丸いお団子をピラミッド状に積んで供え、月からの恵みに感謝します。地域によって形や味に違いがあります。
- 十五夜のお供え: ススキは魔除けとして、また稲穂に見立てて豊作を祈願する意味合いがあります。サトイモや枝豆、栗など、その時期に採れる旬の作物もお供えします。
- 関連商品: この時期になると、スーパーマーケットや和菓子店で月見団子や秋の味覚が並び、「月見バーガー」など、月をテーマにした限定商品も登場します。
まとめ:文化が織りなす「月への想い」
台湾と日本、どちらも美しい満月を愛でる心は共通しています。台湾では「賑やかな家族の絆」と「食の楽しみ」が中心にあり、特に「バーベキュー」が国民的なイベントとして定着しています。一方、日本では「静かな感謝と風情」を重んじ、昔ながらのお供えと共に月を眺める慎ましい習慣が受け継がれています。
同じ月を見上げながらも、その過ごし方にはそれぞれの国の文化や歴史が色濃く反映されており、その違いを知ることで、互いの文化への理解がより一層深まることでしょう。
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