台湾の夜といえば「夜市(yèshì)」を思い浮かべる人が多いでしょう。
でも、地元の人たちにとっての「夜の食文化」は、それだけではありません。
家の近くの屋台、24時間営業の食堂、路地裏の香り――
そこには、観光では見えない台湾の“夜の暮らし”が息づいています。
🌃 屋台から漂う香り:滷味(lǔwèi)の誘惑
「夜食、食べに行く?」
そんな気軽な一言で集まるのが、台湾人の夜の合図。
屋台に並ぶ食材を指差しながら、「這個、要一份(これ一つ)」と注文すれば、
店主が秘伝のタレで煮込んでくれる――それが滷味(ルーウェイ)です。
「想要辣一點嗎?(辛くする?)」
「好啊,加一點!(うん、少しお願い!)」
湯気の向こうで交わされる、こんなやりとりに温かさを感じます。
滷味は、豆干(豆腐の燻製)・鴨血(アヒルの血のゼリー)・青菜など、
好きな具材を自由に選べる“台湾式おでん”のような存在です。
🍗 サクッと香ばしい!鹽酥雞(yán sū jī)
夜遅くなると、街角で必ず見かけるのが鹽酥雞(からあげ)の屋台。
揚げたてのチキンを紙袋に入れて渡してくれるスタイルです。
台湾の夜は、この小さな紙袋を片手に過ごす人たちでいっぱい。
一日の終わりに少しだけ贅沢な夜食を楽しむ、そんな光景が台湾らしさを感じさせます。
🍚 深夜の癒し:おかゆと麺線(miànxiàn)
夜中に静かな食堂へ行くと、やわらかい灯りの下で、
お年寄りや学生がゆっくりとおかゆを食べています。
「明天有考試嗎?(明日テスト?)」
「對啊,所以要吃清淡一點。(うん、消化のいいのを食べとく)」
そんな会話が自然と生まれるのが、台湾の深夜食堂。
鹹粥(xiánzhōu)や蚵仔麵線(kèzǎi miànxiàn)(牡蠣入りとろみ麺)は、
体にも優しく、夜更けの定番メニューです。
🌌 台湾人にとっての「宵夜(xiāoyè)」とは?
台湾では「宵夜=夜食」は特別な言葉です。
仕事終わりのリラックス時間、友達との小さな集まり、
そして一人で心を落ち着ける時間。
お腹を満たすだけでなく、人とのつながりや癒しをくれる“夜の習慣”。
だからこそ、台湾の街は夜遅くまで明るく、温かいのです。
💬 中国語ワンフレーズ
「吃宵夜嗎?一起去買鹽酥雞吧!」
(Chī xiāoyè ma? Yìqǐ qù mǎi yán sū jī ba!)
→ 「夜食食べる?一緒にからあげ買いに行こう!」
🍜 中国語ミニ語彙
夜市 yèshì 夜市
滷味 lǔwèi 醤油だれで煮込んだおでん風料理
鹽酥雞 yán sū jī 台湾式からあげ
麵線 miànxiàn 細いとろみ麺(牡蠣入りが定番)
宵夜 xiāoyè 夜食
早餐店 zǎocān diàn 朝ごはん屋(対比として紹介可)
🌙 まとめ
台湾の夜には、「にぎやか」と「やさしさ」が同居しています。
夜市の賑わいも、路地裏の屋台の灯りも、
どこか人の温もりを感じさせる“夜の風景”。
一口の鹽酥雞、一杯の麵線が、
その日をやさしく締めくくってくれる――
それが台湾のローカル夜食文化の魅力です。


