日本語と中国語はどちらも漢字を使い、共通の単語や表現がたくさんあります。でも、中には同じ漢字の単語でも意味が全く異なるものがあり、なかなか一筋縄にはいきません。
以前の記事では、先生・老婆・愛人などをご紹介しましたが、こうした要注意単語はまだまだたくさんあるんです。今回は、「菜」「湯」という2つの漢字について、私の個人的なエピソードを添えてシェアしたいと思います!
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10年以上前、まだ中国語が全くできなかったころのこと、私は旅行で台湾へ行きました。中部の山間の湖「日月潭」が、そのときの目的地。午後に到着して景色を見てから、夕食のお店を探して街を歩いていると、あちこちの食堂にこんな看板が下がっているのが見えました。それは、「三菜一湯」「六菜一湯」「九菜一湯」といったもの。
何の料理かピンときませんでしたが、あまりにたくさん見かけるので、日月潭の名物に違いないと思いました。その時の感覚では、「○菜一湯」は、「○種類の野菜が入った鍋」というイメージだったので、精進料理のような鍋が出てくるだろうと予想したのです。せっかくなので食べてみることにして、お店を選んで中に入りました。
席についてメニューを見ましたが、文字ばかりで、やっぱりよくわかりません。とりあえず、鍋を頼むなら具材は多い方がいいと思い、「九菜一湯」にチェックをつけて注文しました。すると、どういうわけか、店員さんが顔色を変えて飛んできたのです。何かを熱心に説明してくれましたが、これもこれでわかりません。仕方がないので、言われるままに注文を変えるしかありませんでした。
しばらくして運ばれてきたのは、チャーハン1つとおかずが2つ、それにスープが1つ。…そのときハッとして、やっと勘違いに気がつきました。○菜一湯は、「おかず○品とスープ1品」という意味なのだと。なんと、お店の人が止めてくれなければ、たった2人で10品の料理を頼むところだったのです…
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中国語では、「菜」は野菜ではなく料理・おかずのこと、「湯」はお湯全般ではなくスープのこと。たった漢字2文字で危うく大変なことになるところでした。ですが、逆に言うと、ほんの少しの知識があれば、トラブルを自力で避けられるということでもあります。
皆さんも、ぜひ自分のペースで楽しく学習を続けてみてくださいね。ふとした場面で、必ず役に立つはずです!