台湾旅行と聞いて、多くの人が台北や高雄といった本島を思い浮かべるでしょう。しかし、台湾の本当の魅力は、その周囲に点在する個性豊かな離島にも隠されています。かつての軍事要塞の歴史を持つ「金門(ジンメン)」、美しいビーチと玄武岩の絶景が広がる「澎湖(ポンフー)」、そして霧深い独特の雰囲気を持つ「馬祖(マーズー)」など、それぞれの島が本島とは全く異なる独自の文化と息をのむような自然の美しさを秘めています。
歴史と戦地の面影が色濃い「金門」
中国大陸に最も近い場所に位置する金門は、かつて冷戦時代の最前線であり、その歴史的背景が色濃く残る島です。至る所に点在する防空壕や軍事要塞跡は、当時の緊迫した状況を今に伝え、歴史好きにはたまらないでしょう。しかし、それだけではありません。金門の特産品である「高粱酒(カオリャンチュウ)」や、砲弾の破片から作られた「砲弾鋼刀(ほうだんこうとう)」は、お土産としても人気です。のどかな田園風景と、美しい閩南(びんなん)式の古民家が並ぶ集落も魅力で、歴史と日常が交錯する独特の雰囲気を味わえます。
海の楽園、マリンスポーツと絶景の「澎湖」
台湾海峡に浮かぶ澎湖は、90もの島々からなる群島で、「台湾のハワイ」とも称されるリゾートアイランドです。白い砂浜とエメラルドグリーンの美しい海が広がり、海水浴やシュノーケリング、ダイビングといったマリンスポーツを存分に楽しめます。特に有名なのは、世界有数の規模を誇る「玄武岩の柱状節理」で、その雄大な自然の造形美は圧巻です。毎年開催される「花火フェスティバル」は圧巻で、夜空を彩る花火と海のコントラストは忘れられない思い出となるでしょう。新鮮なシーフードも豊富で、島の恵みを存分に味わえます。
霧が織りなす幻想的な「馬祖」
台湾の北西に位置する馬祖は、霧が深く、どこか神秘的な雰囲気に包まれた島々です。金門と同じく軍事要塞としての歴史を持ち、防空壕を再利用したトンネルや、レトロな石造りの家屋が並ぶ集落など、独特の景観が魅力です。春には「藍眼涙(ランイェンレイ)」と呼ばれる夜光虫が海面を青く光らせる幻想的な現象が見られ、世界中から観光客が訪れます。金門同様、高粱酒の産地でもあり、素朴で温かい島の人情に触れることができます。
本島とは異なる、それぞれの歴史、文化、自然の美しさを持つ台湾の離島群。次の台湾旅行では、少し足を延ばして、これらの秘境で特別な体験をしてみませんか?


